縮毛矯正とは

縮毛矯正の仕組み

縮毛矯正は薬剤(2種類)とアイロン(ブロー)を使って髪の毛のクセをストレートにする施術です。薬剤だけを使うストレートパーマとは異なり、一度かけてしまえばきれいなストレートスタイルを長く維持でるのが特徴です。

縮毛矯正の基本的な流れ

縮毛矯正の流れは大きく分けて3工程あります。

①1剤で元の結合を切断する(髪を柔らかくします):還元
 ↓
②アイロン(ブロー)で結合を組み換える(髪をストレートに整えます):水素結合
 ↓
③2剤で結合を固定する(整えた髪を固定します):酸化

縮毛矯正で起こる化学変化

縮毛矯正1剤の種類

縮毛矯正1剤には種類があります。代表的なものとしては、

〇アルカリ性縮毛矯正

〇酸性縮毛矯正

の2種類が主なもので、アルカリ性の縮毛矯正は1番オーソドックスで、強い癖もしっかり伸ばすことが出来ます。酸性の縮毛矯正は、真っ直ぐ過ぎず自然な仕上がりが特徴です。

他にスピエラや、GMT、微アルカリ等、色々な種類がありますが、どの薬剤にも特徴があり、お客様のクセの強さやダメージ、美容師の好みや使い勝手により、選択肢は多岐にわたります。

当店では酸性の縮毛矯正剤を使用しています。

〇真っ直ぐ過ぎず自然な仕上がり

〇柔らかい手触り、美しいツヤ

〇カラーと同時にできる

〇毛先にカールをつけれる

と、いうメリットがあります。

お客様が縮毛矯正を選ぶ時に、重要視すべきことは、薬剤の種類よりも、美容師さんの技術や経験です。全く同じ薬剤でも、美容師の技術によって仕上がりは全く違います。同じお店の中でも、得意なスタイリストもいれば、得意じゃないスタイリストもいます。SNSの画像や動画、宣伝広告だけで決めるのではなく、自分の髪質にあった薬剤、美容師さんに出会えるまで、自分自身で見分ける力を養うようにしましょう。

最近、「3回通えばきれいになる」という美容師さんが増えましたが、自分に合うかどうかは1・2回目で、だいたいわかるのではないでしょうか?自分でシャンプーして、ドライヤーで乾かせばわかるいと思います。もし、疑問を感じた時は、美容室を変えてみることも検討ください。自分の感覚と合う美容室が見つかれば、それで良いと思いますし、万が一、元に通っていた美容室の方が良かったら、また戻ればよいだけのことです。「1度、他の店に行くと戻りにくい」と、お客様は思うかもしれませんが、美容師側はそこまで気にしていないものです。むしろ、戻ってきてくれたら嬉しいです。お客様が選択していただけたらと思います。

縮毛矯正で1番重要な工程

縮毛矯正の工程において、仕上がりに1番重要な工程はずばり「ブロー」です。1剤をしっかりと流してからアイロン前の、濡れた髪を乾かす時から全てが仕上がりに影響します。

ブロー(濡れた髪を乾かす)って何をしているかというと、水素結合を整えています。

水素結合とは、濡れた髪の中の水分蒸発する一瞬に真っすぐな形状にすることです。

水分を蒸発させ過ぎるとパサパサで手触りが悪くなり、逆に水分が残っているとクセが伸びない事になります。

最適な水素結合の状態を整えるためにはかなりの経験技術が必要となるので、アシスタントでは不可能だと考えています。

水素結合の重要性については、くせ毛の形状にも関係しています。

毛髪は2種類のタンパク質(オルトコルテックス、パラコルテックス)で構成されており、2つのバランスが良く均等な場合は直毛(真円)となります。

くせ毛はパラコルテックス(撥水性)の量が多く偏在しているため楕円形になる為、くねくねと曲がった形状になります。

オルトコルテックスの特徴は柔らかく赤茶色っぽく見え、薬剤のみでも対応可能。

パラコルテックスの特徴はゴワゴワして白っぽく見え、薬剤水素結合の組み換えが必要。

縮毛矯正(アイロン)

ストレートアイロンは水素結合を更に安定させる為に行います。温度は180℃が標準でそれぞれのお客様のダメージ度合いやコルテックスの種類によって調整します。

強く引っ張ったからといって伸びるわけではありません。アイロン前のドライやブローで約80%の水素結合は完了しているので、残り20%の不十分なところを補って、クセの伸びと手触り・ツヤのクオリティーを上げる事がアイロンの役割です。

縮毛矯正最後の工程

アイロンが終了したら最後、2剤という薬剤を根元から毛先まで全体に正確に、しっかりと塗布して定着させます。

この2剤の重要性を理解しておらず甘く考えている美容師さんも多くいます。もし仮にアイロンの後に2剤をつけずにいると・・・毛髪は時間が経つほどにゴワゴワ・ボロボロになり、最後は切れてしまいます。

ここまでが縮毛矯正の仕組みになります。以下に最近よく見かける「酸熱トリートメント」、「髪質改善トリートメント」の仕組みをまとめておきます。宣伝に惑わせれる事なく、ご自分の髪質や目的に合わせて正しい選択の助けになればと思います。

縮毛矯正と髪質改善トリートメントの違い

縮毛矯正は①1剤②アイロン③2剤の工程を順番に行うことで、ご家庭でも乾かすだけで髪が真っ直ぐになる技術です。言い換えると①から③のどの工程も省く事はできません。時間も約3時間かかります。

毛髪の結合を組み換える=歪な毛髪を変形させる事であり、それを可能にできる唯一の手段が縮毛矯正です。

トリートメントは、3ステップと呼ばれる3種類のものを順番につけていくものが一般的(工程が増えても理論は同じ)で、毛髪表面をコーティングするものです。

このページでも表記している直毛=コルテックスが均等で真円なら表面をコーティングするだけで問題ないと考えられますが

しかし、クセ毛=コルテックスが偏って楕円になっている方の場合は、表面をコーティングしてもクセ毛はのままです。

髪質改善=クセが収まる、髪質が変わるヘアケアになるという効果は期待できません。そもそも消費者に誤解を招くような表示は業界としてすべきではないと思います。

酸熱トリートメントについて

縮毛矯正との比較

縮毛矯正酸熱トリートメント
①技術工程1剤→アイロン→2剤→仕上げアルカリ剤→シリコン剤→仕上げ
②クセ毛を伸ばせるか伸びる伸びない
③施術時間3時間1時間
④価格2万~3万円1万~2.5万円
⑤どんな髪質に対応できるかクセ毛で広がりやすい方、
既に縮毛矯正されている方
クセが殆ど無く広がらない方

「酸が毛髪のクセに反応して改善してくれる」、「第2の縮毛矯正」、「魔法のトリートメント」、「繰り返せば繰り返すほど綺麗になる」・・・

クセ毛やダメージでお悩みの方にとっては心動かされる、魅力的なワードですが、そんな広告に惹かれて実際に体験された方も多いのではないでしょうか?

私自身も、今から約3、4年前に「酸熱トリートメント」が出てきた時には驚きましたし、宣伝が事実であればすぐに使いたいと思いました。

そもそも「酸熱」の酸はグリオキシル酸などの酸を指します。メーカーによって他の酸を使用しているところもあります。熱とはアイロンの事を指します。熱で結合を強くするという意味だと思います。メーカーや酸熱トリートメントを推している美容師さんの説明によりますと・・・

アルカリ剤を使用せずに、酸が髪の歪んだ結合を整え、最後にアイロンでその結合を強化すると、髪が真っ直ぐになる。繰り返せば繰り返すほど髪が綺麗になる・・・だそうです。

そこで、知り合いのサロン様での酸熱トリートメントの講習に実際に参加することが出来ました。その時に1番有名(SNSでバズっていた)だった商品でした。

酸熱トリートメントの工程

工程①:アルカリ性の水をつける。あくまで水なので髪に負担が無いという説明でした。

工程②:トリートメント剤(シリコン剤)をつけ、ウェットアイロン(アイロンにゴムのカバーがついており濡れた状態で使用可能)ではさむ。

工程③:流す

工程④:ドライ、最後に全体をアイロンで仕上げ。

と、いう内容でした・・・。あれ?酸なんてどこにも使ってないぞ・・・

「酸はどこで使うんですか?」と、質問すると、工程③のお流しの後に酸の液体をつける。と、説明されました。「最後の仕上げは必ずアイロンしてください、必ずです!」と、強調されていたのでおもわず失笑してしまいました。

翌日、いつも薬剤を製造してもらっている工場の担当者に連絡し、昨日講習で使用した商品の成分を調べてもらいました。

工程①で使用した水は、弱いパーマ液でした。水ではありませんでした。

工程②で使用したトリートメント剤はごく一般的なシリコン剤でした。

工程③のお流しの後に使用した酸、一般的にアルカリ性からPHを下げるレベルの液体ものでした。

使用されていた製品からメニューを解説すると、

①アルカリ剤(パーマ液)でキューティクルをふやかして、S-S結合を切断する。

②キューティクルをふやかした状態の上にシリコン剤を塗り、熱で押し込む。

③お流しして、アルカリよりに傾いたPHを酸の液体で中性よりに戻す。

④ドライした後にアイロンを挟んで綺麗に見せる。

この内容を薬剤に詳しい人が見たらすぐにわかりますが、トリートメント(シリコン)の効果があるように見せかけるために、パーマ液をかけて、2剤もつけずにアイロンでごまかす(クセが伸びているように見せる)。家に帰ってからお客様が自分でシャンプーして乾かしたらクセは伸びてないし、広がりパサつくのは明らかです。クセが全くなく、ダメージも無い方には問題ないと思います。

酸って閉める効果があるんですよ。硬くなるんです。このメーカーは酸なんてほぼ使用してませんでしたが、ダメージや広がってる髪に高濃度のグリオキシル酸をつけたら、余計に硬くなってパサパサになる原因となります。

想像だけじゃないんです、実際2年前に工場からグリオキシル酸を取り寄せて実験しました。工場の担当者には「絶対にパサパサするだけやから怒らないでくださいね」と念押しされましたが、そのとうりになりました。

現実とかけ離れたメーカーの宣伝文句と、その事実を確かめようともしない美容師さんたち・・・

美容室の闇

① 薬剤

「痛みにくい」や「ノンダメージ」といううたい文句をよく見かけますが、実際の美容室の現場では「ダメージしやすい薬剤」が好んで使われています。なぜなら、ダメージを理由にサロンでトリートメントメニューを追加したり、ヘアケア剤(シャンプー、トリートメント)を売りやすくなるからです。

その美容室が本当にお客様の髪を痛めない薬剤を使っているのか?を見極める簡単な方法があります。①美容師さんの手を見る。体質的に肌が弱い方もいらっしゃいますが、1番わかりやすいポイントになります。②美容室から帰った後、髪に薬剤の匂いが残っているかを確認する。カラーやパーマをしたから、薬剤の匂いがしても当然だと思うかもしれませんが、不必要な薬剤が残っていると、日に日に髪の状態が悪くなります。

「全く傷まない」薬剤=「全く効果がない」薬剤であるという事を理解する必要があります。

②トリートメント

「髪が傷んでいますね」と美容師さんに言われたら、殆どの方が勧められるがままにトリートメントをしませんか?確かに、その日はサラサラになるかもしれません。が、数日経てば効果がすぐに感じられなくなった経験は、皆さんあると思います。トリートメントは毛髪表面をコーティングするものであり、効果は日に日に無くなっいくもので、髪質が改善されるものではありません。

美髪に1番重要なこと

①乾かし方

美容室に行った日はすごく調子が良かったのに、シャンプーして自分で乾かしてみたら、元の状態に戻っていた。という経験は皆さんあると思います。なぜだと思いますか?1番違うところは「乾かし方」です。専門用語では「水素結合」と言いますが、髪は水分が蒸発する一瞬で形が決まるという原理があります。自分で髪を乾かす事自体が面倒で時間がかかる事ですが、コツが必要になりますのでご来店のお客様には詳しくお伝え致します。

②乾かす前に何をつけるか

美容室では必ず仕上げの時、乾かす前に何かをつけますがなぜだと思いますか?答えは1番仕上がりに直結するからです。実はダメージを回復させる技術やメニューはありません。InstagramやYouTubeでダメージ毛や縮毛矯正失敗を治すというものがありますが、よく見てみて下さい。必ず最後の仕上げの前に何かをつけて乾かしています。ひどい場合は数種類つけて乾かす事で質感を良くしている現実があります。では何をつければよいのか?当店ではオイルはおすすめしません。

ご来店のお客様には詳しくお伝え致します。